クラムボンは笑ったよ

見えないもの 根っこ、端っこにあるものを描きたい

クモはコガネムシが嫌いだ

作/はらだ けんじ

人生こんなもんだよ‥

※ この物語は随分昔に見た実話を昔創作した物です(^^)

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カメムシが歩いているところに、カがやってきた。

 

カ「カメムシさん、こんにちは!ファーッ良い匂い。ここは酒の味がする植物の液がいっぱいあって匂いだけで酔いますね」

 

カメムシ「うん最高だよ、もう朝から酔っ払っちゃってヘロヘロ〜ウィッ」

 

カ「そんなに酔ったら危ないですよ。この辺はクモの巣が多いですから」

 

カメムシ「大丈夫大丈夫。私は嫌われてるから、クモさんは私の臭いを

嫌がって食べるどころか必死で追い払って、巣に引っかからないようにしてくれるからね」

 

カ「ならよかった。私なんかは、あの網の目をスルッとスルーするから、天敵リストから既に外してますよ」

 

カメムシ「やっぱ1番怖いのは、お互い人間ですかね」

 

カ「そうそう、私なんかなんもしてないのいきなりムキになって叩かれるんだからね。もうそれで何人も仲間が死にましたよ」

 

カメムシ「そうそう私も同じ。洗濯物に付いていた日にゃー、臭いってギャーギャー騒いで、マンションの10階のベランダから道路にツキ落とされるんですよ。たまったもんじゃないですよ、仲間何人がそれで骨折か、車に引かれてます」

 

カ「オスなんかもっと悲惨よ、血吸わないのにパチンでおしまい。もうなんて言うのかな、残虐気余りない。クモさんの方がよっぽど友好関係築けてる」

 

カメムシ「でもさぁ周りの虫たちはクモさん異常に嫌がってるよね」

 

カ「そうそう普通のムシは、クモさんに捕まったら絶対に逃れられないっていうじゃない」

 

カメムシ「やっぱ私らは、特種だわね。この業界では異物」

 

そこへコガネムシトコトコとやってくる。

 

コガネムシ「やっほぉー、こんにちはコガネムシさんでゅよ。この辺餌が多くていいねボタン押しちゃおう」

 

カメムシ「能天気なコガネムシさん、気をつけたほうがいいよ。ここは餌もいいけどクモの巣が縦横無尽、四方八方にたくさんあるよ」

 

コガネムシ「縦横無尽だけで通じるよ、カメさん」

 

カメムシ「僕の名前は短くきると、昔話にみたいになるよ」

 

コガネムシ「マジここは危ないねーでもね、この辺にこないと餌ないし、この美ぼう保つには、ここの植物食さないと。まぁ人間にだけ捕まらなけりゃいいよ」

 

カメムシ「言えてる。ここに人間がいたら、10人のうち、9人はおだぶつよ」

 

コガネムシ「なんでぇ、人間がいなければ私たちがねぇ地球の主役になってたよ、実におしい」

 

カ「あの蚊取り線香っていう武器も不気味。君たちはあの煙りみたいなの苦しくない?」

 

カメムシ「あれ煙りだけどね。苦しいってもんじゃないよー。まぁちょっとね君よりも体が大きいから死ぬこたなけど、体がだるくなるというかね、気力減退、あの煙だけはやばいよね」

 

カ「まぁこの3人の中ではコガネムシくんが1番ラッキーだよ。どっちかと言うとあんまり人間に嫌われてないもんね」

 

コガネムシ「まあ、君らより好かれてるのは疑う余地は無いけど、その分天敵が多いんだよね。ところでさあ、さっきから君たちの話あまり聞かないで、ずっと考えてたんだけどね、あのクモの巣いくらで売ってくれると思う?」

 

カメムシ「人間に食われろ」

 

コガネムシ「ジョークだよ。こんだはマジな質問、カメムシさんは何が1番怖い?」

 

カメムシ「ああ、自分自身だよ。言っちゃっていいかな。自分から出る体液、この臭いを嗅いだら、死ぬほど苦しいんだ、死ぬ場合もある」

 

コガネムシ「ヘェー、みんなそれぞれ変態だ、いや大変だ!バカ話しはこれくらいにしょう。はらへったから。飛びます、飛びます。バァーい」

 

コガネムシ飛ぶ。

 

カ「クモの巣に気をつけるんだ……ウィーっ」

 

コガネムシ言った矢先から、クモの巣に引っかかる。

 

コガネムシ「あら⁈なにこれーめんどい」

 

カメムシ「今までの時間は何だったんだ?!どうする?」

 

カ「私助けに行くか!いやダメ私体が小さすぎる。きゃークモが、危ない!」

 

クモの巣に掛かったコガネムシに、寝てたクモ、瞬時に反応。

 

クモ「よっしゃー、ぐらっシャス」

 

クモが慌てて糸でグルグル巻きにしようとして網を揺らして走った瞬間。

 

コガネムシ「ポトン」

 

という音?か声か?がして、コガネムシ背中から地面に落ちる。

 

クモは「あっ?」

 

あっけにとられた、クモはポカーンとマヌケ顔。

 

コガネムシ「ああ、いてぇ。どっこらしよのしよっと!」

 

コガネムシは、何事もなかったかのように、クモの巣を振り返りもせず、とぼとぼとと歩くて去っていった。今度は飛ばないようだ。

 

惨めなクモ。ショックのあまり蜘蛛の巣修理も出来ない。

 

自然の厳しさと、慌てることの愚かさ、そして命のラッキーな瞬間を一度に見た、カとコガネムシは、チョット満足げ。

 

カ「私らも帰ろうか」

 

カメムシ「うん!と言うしかないね」

 

皆が帰った後、破れた蜘蛛の巣は、ユラユラと揺れ揺らぎ、風と寂しく踊っているように見える。クモはまだ固まったまま。この世界は、いつも面白し。

 

おしまい。