クラムボンは笑ったよ

見えないもの 根っこ、端っこにあるものを描きたい

消火器の人生

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[写真ドラマ]

※この写真をジィーと眺めて読んでください

『消火器の人生』

僕はコンビニの消火器
ここに来て7年になる
この場所は、前が大きな道路でトラックが多い。後ろは山や田畑ばかり。僕は生まれて誰にも必要とされてない、悲しい
何のための僕?
毎日毎日考える。辛すぎる
『ウゥーンウゥーン』ああー消防車🚒だ。何処か火事なんだろう!それでも誰も僕には声すら掛けてくれない‥
涙がこぼれそうに‥
わあっ!犬が来た!やめろ!おしっこかけるな!しっしつ!わあ!やられた!くそー犬まで馬鹿にしやがって! 
犬は安心した顔で行った‥
ふっと心にのぼってきた‥
今‥犬に"安心"を与えた。そうか!僕は使われなくていいんだ!何のために生きてるか分かったぞ!皆に"安心"を与えるために生きていたんだ!‥泣いた。僕は"安心"そのものだったのか。
僕の頬に涙が伝わってきて、しょっぱい味がした‥
いや涙ではない!だって僕は消火器だから。このしょっぱいのは、犬のオシッコの味かもしれない‥

 

はらだ けんじ