クラムボンは笑ったよ

見えないもの 根っこ、端っこにあるものを描きたい

消えたお坊さん![実話]

[あるお坊さんとの一瞬の出逢いで夢叶いました]

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昼下がりの公園に中年男性がベンチに1人座って悩みに悩んでいた。その男性とは私自身である。12月の下旬でクリスマスがもうすぐと言う季節だから超寒い(笑)公園は人っ子一人いない。なぜ?何故に?北風ピューピューの所に好んで私座っているのかしら?

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悩みがあった。数年前に自動車関係の会社員を辞めて独立してイベントなどの自営の仕事をしていたが思っていた収入には程遠くザクザク赤字行進。家族を養う為に警備員や宅配業の副業をしていたが、思う様にいかず悶々としていた‥そんな時、アメリカでヨガ講師になった女性の友人H子さんと再会することになった。ヨガの体験会をすると言う事で興味本位で受けに行ったのだ。

 

H子さんは数十年振りの再会を喜んでくれ、ヨガを受けた後色んな話しをしていくうちに、ヨガ講師を育ててると言うことを話してくれた。ヨガは何か良いと思ったので、講師になりたいと即その場で伝えた。そこから修行の始まりが苦悶の始まりだった。

 

昔ダンスをしていたこともあり体を動かす事に自信があったのだが、全く講師になれない、最終テストで何回やっても落ちまくり落ちまくる。ヨガのポーズ、形は良いと思うけど何がいけない?のか泣きたい‥泣いた。

‥話しを冒頭の公園に戻す。そんな悩んでいる時はやはり北風ピューピューがあっているので冒頭の公園で哀愁漂わせて悲劇のヒロイン⁉︎になっていた。

 

そこへ40代半ば位の頭坊主の男がやってきた‥超寒いのに、なぜ?何故に?しかもその坊主男「すいません、隣に座って良いですか?」と言う。えっ?他のベンチはガラ空きなのにわざわざ隣に座る?怪し過ぎと思ったが「どうぞどうぞ」と裏腹返答。すると坊主男「すいません、酒とつまみいただきます」と自分で持ってきたワンカップの酒と柿の種をつまみに一杯やり出した、しかもひとりでね(変な口調なるよね)無言のまま数分経った時、坊主男は酒のせいか急に滑らかにおしやべりしだした。

 

「私ですか?」いやあなたの事なんか何も聞いて無い興味無いよ「私はですね、見ての通りお坊さんですよ。まあ、お寺は持っていないけど‥ああもたないようにしてるんですぅ。屋根の修理だとかーもろもろ金かかるから、酒呑めなくなったらいけないので、宅配坊主やってます。今風でしょう。呼ばれたら行く、リスクない仕事です」なるほど、やはり変わった坊主だ。と思っていたら

 

「今何考えていますか?」やばい変わり者坊主と思ったことバレたか?と焦ったたら次の質問がきた「お宅何か悩んでいるでしょう」ズバリ言われドキッとした「そうなんです、実はヨガ講師の修行をしてるんですが、受からなくて悩んでます」と言うと坊主男は“自分だけ”酒とつまみを交互に呑み食いしてゆっくり間を空けて話しだした。

 

「柿の木は秋に成らぬと実がつきません」何あたり前のこと言ってるんだ。「あなたは冬なのに、柿の木実が成らぬと嘆いているんです。『なんで実らないんだ!』って。秋になれば自然と実るのに。今出来る事だけをしてたらいいんですよ。そしたら実がなって、その実が落ちてまた木がなって豊作になって行くんですよー」軽い口調だ。だけど心に突き刺さる。で、私は用事があったので「良いお言葉ありがとうございます!気が楽になりました。では、もう行かなくてはいけないので失礼します」とベンチから離れて10メートル位進んだ、フッと振り返りも一度挨拶しようと思ったら‥「あれ?いない?」あたりを見たがどこにも?見晴らしがいい公園なので姿が無いのは物理的に考えてもおかしな現象だ。「えっ?幻覚?まさか」世の中不思議な事は絶対にある。

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坊主男さまのお言葉で肩の力がスッ〜と抜けた。焦りが完全に無くなり自分を取り戻す事が出来た。自分のポーズばかりに気を取られ、生徒さんに目を向けて無かったことに気づいかされたのだ!そしたらキラキラーとヨガ講師になれたのだ(^.^)

坊主男さまが言ってように、柿の木に実がなる秋が自然にやってきて、10年経った今は豊作になった。しかしあの 消えたお坊さん は一体誰だったんだろう

 

おしまい。