鳩と 椅子と 光りと
【写真ドラマ】
※この写真をジィーと眺めてからご覧ください
『鳩と 椅子と 光りと』
ある時、鳩が木の椅子の上へポッンとフンを落としてしまいました。
フンをかけられた椅子は激怒しました「鳩!よくも俺様に汚らしいフンを落としやがったな!これで人が座れなくなった!許さんぞ」
鳩は「わざとじゃないんだ。ごめんなさい‥」と椅子の前で怯えて丸くなり動けなくなってしまいました。
そして毎日、椅子に詫びました。しかし椅子はゆるすどころか益々怒っていきました。
フンは白くなってシミとなり、人間は座らなくなりました。
鳩も長いこと丸くなったままなので、ピクリとも動けなっていきました。
数日たってそろそろ命が細くなった時、鳩は声を振り絞るように言いました「椅子さん、私の命が無くなれば、その怒りは消えるでしょうか‥」そうして鳩がゆっくり目を閉じ息をしているか分からなくなった時‥
椅子の上のフンにパーっと光りが差し、どこからともなく優しい透明感溢れる声が響いてきました「鳩さん、もうすぐ雨が降りフンを洗い流してくれますよ。それから風が吹いて来て乾かしてくれて元に戻してくれます‥だからもうその場から離れて自分の人生を全うしなさい」
それを聞いて激怒していた椅子がポツリと言いました「鳩さんがフンをかけてくれたおかげで、自分の愚かな心に気づいた。自然の力を忘れていた‥今はもう感謝しかない」
鳩は力が湧いてきたのか、目を開けスゥーと羽ばたいて椅子の上をぐるぐる3周ほど回って光りの方に飛んでいきました。
※もう一度写真をジィーと眺めて見てください。そんな声が聞こえてくるでしょう。
はらだ けんじ
(写真提供は、Twitterフォロワーの月子さん)